日本障害者歯科学会雑誌
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原著
神奈川県における小児在宅歯科医療の現状に関するアンケート
―第3報 障害児発達支援事業所における調査―
小松 知子宋 文群松澤 直子萩原 大永村 宗護田中 直人有輪 理彦大澤 智子水田 康裕鎌田 有一朗横山 滉介李 昌一井野 智櫻井 孝
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2022 年 43 巻 2 号 p. 115-120

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抄録

在宅療養児が在宅生活だけでなく社会とつながりをもち,活動の幅を広げることは子どもの成長・発達において重要であり,障害児発達支援事業所における障害福祉サービスなどの対応が充実してきた.しかし,障害児発達支援事業所における歯科専門職による歯科支援の実態の把握は十分ではない.そこで,障害児発達支援事業所を対象に利用者の歯科に関する困りごと,小児在宅歯科医療のニーズなどを把握することで,障害児発達支援事業所における歯科支援の課題の抽出と第1,2報の結果を踏まえ,小児在宅歯科医療の提供に必要な今後の取り組みを検討した.

対象となった障害児発達支援事業所510件中106件(回収率20.8%)から回答が得られた.利用者からの相談としては「食べる機能」についての相談が72件(67.9%)と最も多く,第1報での提供できる医療と齟齬が生じていた.巡回指導や研修会の参加については,「参加したい」が62件(57.5%)であり,「小児在宅歯科医療の対応可能な歯科医院リスト」や相談窓口の活用を希望する回答が多く寄せられた.

一次医療機関,保健所,障害児発達支援事業所における調査の結果から,小児在宅歯科医療で提供すべき処置を明確化し,必要な専門知識の充実や技術の普及に向けた研修会の開催が必要であり,多職種間はもちろんのこと,患者を含む誰もが必要かつ詳細な情報を把握・共有できるネットワークシステムの構築が必要であると考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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