日本障害者歯科学会雑誌
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症例報告
静脈内鎮静法下歯科治療時にてんかん様発作を生じた認知症高齢患者の一例
髙木 沙央理安藤 槙之介森山 詩織南淵 翔平原田 達也大野 由夏小長谷 光
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2023 年 44 巻 2 号 p. 151-158

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抄録

高齢発症てんかん発作の既往を有する認知症高齢患者に対して複数回の静脈内鎮静法管理を行い,術後てんかん様発作の対応に苦慮した症例を報告する.本症例は認知症によって歯科治療に非協力となり,静脈内鎮静法を併用することとなった.全9回の静脈内鎮静法下歯科治療のうち3回で,てんかん様発作が生じた.1回目のてんかん様発作は,3回目の歯科治療診療後の麻酔からの覚醒時に認められた.フルマゼニル使用による離脱症状が疑われたため,4回目の歯科治療ではフルマゼニルを使用せず,覚醒中にてんかん様発作を生じた.プロポフォール使用による神経興奮作用によりてんかん様発作が誘発された可能性を疑い,5回目以降はプロポフォールを使用せずに麻酔管理を行った.8回目の歯科治療では7mgのミダゾラム投与が必要となった.麻酔覚醒不十分のためフルマゼニルを使用したところ,てんかん様発作を生じた.てんかん発作を有する患者へのプロポフォールおよびフルマゼニルの使用は,てんかん発作の誘因となる可能性がある.

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© 2023 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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