2023 年 44 巻 3 号 p. 213-222
近年,Information and Communication Technology(ICT)を活用した新たな技術を導入したオンライン診療が検討されている.本研究では,障害者支援施設での摂食嚥下リハビリテーションにおけるオンラインの活用を検討した.
当科に受診したことがある障害者支援施設入所者で,経口摂取で食事介助を必要とする者を対象者,対象者の摂食嚥下に問題や困りごとを感じて,相談をした食事介助者を相談者とした.相談者に対して対象者の食事場面におけるオンライン指導を4回行い,その後,質問紙により相談者にオンライン指導に関する調査を実施した.
対象者は,知的能力障害者8名,相談者は生活支援員29名であった.相談内容は「むせ」が最も多く,オンライン指導では「むせ」の他に「ペースが早い」や「不適切な介助」「不適切な姿勢」などの問題点も多く観察された.介助方法や姿勢,食具の調整・変更は,相談者による対処で改善された.対象者の「むせ」「食べこぼし」「一口量が多い」「丸飲み」「犬食い」など摂食嚥下機能に関わる問題点は減少あるいは改善傾向を示した.質問紙調査ではオンライン指導の有益性,進め方ともに高い評価であった.
障害者支援施設への入所などの生活環境の変化のなかで,継続的に誰もが公平な医療を受療できる合理的配慮において,オンライン診療が活用されることは重要であると考えられた.