日本障害者歯科学会雑誌
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原著
重症心身障害者の歯石除去に応用した亜酸化窒素吸入の臨床的効果
―心拍変動解析を用いて―
河瀬 瑞穂, 岡田 芳幸, 河瀬 聡一朗, 脇本 仁奈, 宮崎 裕則, 森本 雅子, 小笠原 正
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2024 年 45 巻 1 号 p. 9-19

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抄録

重症心身障害者は意思の疎通や鼻呼吸の維持が困難という理由から,笑気吸入鎮静法の適応が難しい障害とされている.また,重症心身障害者を対象に笑気吸入鎮静法の臨床的効果を評価した報告もない.そこで,重症心身障害者に対し,各濃度の亜酸化窒素を吸入した状態で歯科治療を行い,心拍変動解析を用いて臨床ストレスへの影響を評価した.18名(健常成人9名,重症心身障害者9名)を対象に,吸入する亜酸化窒素濃度を日を異にして0%,30%,40%に設定し,それぞれ浸潤麻酔後に仰臥位で歯石除去を行った.その際,心拍数,呼吸数を測定し,R-R間隔のゆらぎから心拍変動解析を実施した.その高周波成分(0.15~0.4Hz:HF)を副交感神経活動,低周波成分(0.04~0.15Hz:LF)とHFとの比(LF/HF)を交感神経活動優位性の指標とし,吸入前,吸入後5~10分,浸潤麻酔時,歯石除去中に各指標の変化を比較した.心拍数は健常成人では,吸入濃度0%,30%,40%のいずれの濃度においても吸入前と比較し低下した.重症心身障害者では,吸入前と比較し,吸入後に低下したが,処置中は上昇した.HFは健常成人では,吸入前と比較し,処置中まで上昇した.重症心身障害者では,吸入前と比較し,浸潤麻酔時に上昇した.その変化は40%吸入時に著明であった.重症心身障害者のLF/HFは,40%吸入時に吸入前と比較して,吸入後5~10分,浸潤麻酔時で減少し,吸入後の減少は0%と比較して有意に大きかった.以上から,重症心身障害者であっても笑気吸入鎮静法の臨床効果を認め,歯科治療時のストレスが軽減されることが示唆された.

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