2025 年 46 巻 3 号 p. 228-236
障害者歯科診療における2次医療機関である横浜市歯科保健医療センター(以下,当センター)は,医療連携体制の充実を図る目的で2014年4月1日から2024年3月31日までの過去10年間における当センターの初診患者の動態について後方視的調査を行った.
対象患者は1,560人(男性963人,女性597人),年齢層は6歳以下が26.8%を占めており,平均年齢は23.2歳であった.主な障害および疾患では自閉スペクトラム症(IQ70未満),口腔疾患ではう蝕関連疾患が最も多かった.患者の多くは市内から通院しているが,市外や県外からの通院も認めた.通院に60分以上要する患者が23.6%おり,自身の生活圏を越えて通院していることがわかった.治療の実施方法は薬物学的行動調整法の割合が40.0%,そのなかで全身麻酔法が最も多かった.紹介率は2014年度から2022年度まで横ばいだが,2023年度で急激な上昇を示した.紹介元は1次医療機関が最も多く,当センターが横浜市の2次医療機関として認知され,前方連携が進んでいることがわかった.しかし治療終了後も当センターに通院する患者が51.8%おり,後方連携は進んでいない状況であった.障害のある人が身近な場所で歯科受診を可能にするために,横浜市全体における障害者歯科医療の1次,2次,3次医療体制の構築を行い,そのなかで2次医療機関の新設や,障害者歯科に必要な臨床経験や知識を有する歯科医師等の養成,地域医療連携の強化を図る必要性があると示唆された.