抄録
プノンペン市周辺の農村地域では水利用を天水に頼っており, 今後の水資源開発には地下水が重要な役割を果たす. 本研究では, 簡便な地下水探査手法である比抵抗法垂直探査の適用性, とくに地下水資源の賦存量が大きいと考えられる砂層への適用性を評価するため, 調査地域において比抵抗法垂直探査を行うとともに, ボーリング試料の比抵抗計測を行った. その結果, 調査地域の比抵抗構造が明らかになるとともに, シルト以上の粒径を有する層と粘土層の比抵抗による区分が可能であることが明らかとなった. また, 調査地域の比抵抗構造とカンボジア政府が行った揚水試験の結果から, 各検討断面測線別の地下水流動量を算出した. その結果, 地形要素を考慮して決めた各検討断面測線別では地下水流動量に大きな差異はないが地形別に見ると, 氾濫原がもっとも小さく, 段丘面がもっとも大きい流動量を示した.