応用地質
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近赤外分光法による花崗岩質岩石の水和度の評価と岩石強度との相関
磯野 陽子木村 隆行中嶋 悟
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2014 年 55 巻 2 号 p. 86-92

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抄録

 近赤外分光法の土木地質材料への適用可能性を検討するため,一軸圧縮強度・P波・S波速度を測定した山陰高山期花崗岩類供試体(8検体)および領家花崗岩類供試体(18検体)において,長石類10粒子の近赤外反射スペクトルを測定した.反射スペクトルをクベルカ・ムンク式で吸収スペクトルに変換し,1,450,1,950,2,250,2,350 nm付近の吸収帯面積の平均値を求め,岩石物性値との相関を調べた.その結果,山陰高山期花崗岩類の長石類の2,250,2,350 nmの吸収帯面積および領家花崗岩類の長石類の1,450,1,950nm吸収帯面積と岩石の強度・速度特性に比較的良い負の相関が認められた.X線回折法および偏光顕微鏡観察結果と対比すると,山陰高山期花崗岩類長石類の2,250,2,350 nmの吸収帯面積は,長石類の絹雲母等への粘土化を,領家花崗岩類長石類の1,450,1,950 nm吸収帯面積は,粘土の層間水・吸着水に対応していると考えられた.これらの長石の水和(粘土化)度を近赤外吸収帯面積で評価することができ,またそれらが岩石の強度低下の指標となる可能性が示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本応用地質学会
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