抄録
目的:埼玉県東部地域における精神科救急の現場滞在時間についての実態調査を行い,その現状を報告し,問題点を検討する。対象と方法:2009 年4 月から5 月末日までの2 カ月間に当協議会管内で発生し救急搬送された8451 症例のうち,精神疾患の715 症例を対象とした。結果:要因として,①事故種別において自損行為群が現場滞在および医療機関選定の際,有意に時間が延長していた。②既往のある群において現場滞在,医療機関選定,1 件あたりの問合せ,いずれも有意に時間が延長していた。結論:非精神科救急に比べ精神科救急において現場滞在時間が長時間となった要因について調査したところ,身体合併症を有する精神科疾患患者,また精神疾患の背景因子を有することがその要因であることが判明した。精神科救急における現場滞在時間の短縮には,地域精神科医の協力や精神科および一般救急医療機関間での精神科救急搬送システムの構築などが急務と考えられた。