2016 年 57 巻 1 号 p. 15-26
我々は我が国の沖積層基底の深さを調べ,地層処分で求められる将来10万年後の下刻のリスク分析を行った.沖積層基底の深さは河川の営力と海水準低下によって引き起こされる下刻の良い指標である.このデータの分析から,隆起域における後期更新世以降現在までの氷期/間氷期1サイクルの間に生じた下刻量は,当該地点のその期間の隆起量に約100mを加えたものが最大であると考えられる.斉一観に基づき,この結果の時間軸を反転させて考えれば,将来予測を得る.沈降域の評価は今後の課題である.