応用地質
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落石・岩盤崩壊にかかわる素因の分析 (その2)
災害データによる素因の分析
野口 達雄杉山 友康
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2001 年 42 巻 2 号 p. 114-122

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抄録

落石・岩盤崩壊の発生には, 地形・地質的なものを主体に多くの素因がかかわっており, 岩石斜面の安定性を評価するためには, これらの素因の考察が重要である. そこで, 鉄道沿線の岩石斜面の保守管理を念頭に置き, より的確で実用的な安定性評価法を提案することを目的として, これらの素因の分析を行った. 前報では既存の安定性評価法で扱われている素因の分析結果について報告したが, 本報告は, 過去の災害データから抽出した素因について分析した結果をまとめるとともに, 前報で報告した分析結果と合わせた考察も行ったものである. その結果, 転落型落石, 剥落型落石, 岩石崩壊それぞれについて, 発生しやすい条件やとくに関連が強い要因を明らかにすることができた. また, 素因には, 落石・岩盤崩壊の発生に直接関与するもののほか, 発生に至るまでの斜面の不安定化にかかわるものと線路への影響度にかかわるものがあり, 安定性評価を行う際には, このことを十分認識することが重要であることも確認できた.

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© 日本応用地質学会
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