応用地質
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マトリクス拡散による物質移動の遅延効果の評価手法とその検討
吉田 英一佐藤 治夫仙波 毅
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2002 年 43 巻 1 号 p. 24-34

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抄録

高レベル放射性廃棄物などの廃棄物を地下に埋設・処分する場合, 現場の地質情報に基づく割れ目などの物質の移行経路の同定と, 移行経路からのマトリクス拡散現象を解析・評価することが求められる.
本研究では現場の観察結果と実験的アプローチの組み合わせによる, 現場に即したマトリクス拡散の遅延効果を解析・評価するための手法を提示し, その適用性の検討を行った. その結果, (1) 移行経路としての割れ目の構造的特徴は, 大きく3つのパターンに分類可能であり, それらの構造的特徴を反映させた拡散実験によって, より現場に即したマトリクス拡散の解析・評価が実施できること, (2) 短期間での拡散実験においても, 自然界に認められるマトリクス拡散の類似現象 (ナチュラルアナログ) との比較検討によって, 長期的な物質移動現象の評価を行うことが可能であること, そして (3) 移行経路内の充填鉱物の種類や形成年代の検討が, 移行経路の構造や特性の長期的安定性の予測と, 現有の調査・実験手法が将来の現象評価に適用可能かどうかの判断に役立っことが示された.

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© 日本応用地質学会
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