応用地質
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数値地図50mメッシュ (標高) による三浦半島における斜面崩壊地の地形的特徴に関する検討
50m-DEMによる自然災害評価の限界と期待
太田 岳洋
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2006 年 46 巻 6 号 p. 331-340

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抄録
鉄道や道路などの長大線形構造物に対して自然災害の危険性を評価するには, 広域的かっ客観的でさらには経済的な調査が望まれる. そこで, 最も容易に取得可能な地形情報である国土地理院発行の数値地図50mメッシュ (標高) (通称: 50m-DEM) による自然災害の危険性評価の可能性を検討することを目的に, 三浦半島全域について50m-DEMを用いた地形計測を行い, 求められた地形特性値から三浦半島における地形的特徴と斜面崩壊地の地形的特徴, それらと地質の関係について検討した.
その結果, 各地形特性値の頻度分布の特徴は, それぞれの地層の岩相を反映していると考えられ, 地形特性値から斜面崩壊箇所の地形的な特異性などを抽出することは困難であった. このため, 50m-DEMを用いた地形計測から個々の斜面の崩壊などの災害に関する危険性を評価することは困難であると考えられる. しかし, 50m-DEMは広域に均一な精度のデータであることや細密なDEMに比べて圧倒的に安価であることなどから, 広域的な一次スクリーニング手法としての有効性について, さらに検討する必要がある.
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© 日本応用地質学会
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