2006 年 47 巻 3 号 p. 152-155
秋田県澄川地熱発電所では, 地熱水から蒸気分離された後の還元水に排水基準以上のAs (約13mg/l) が含まれているため, 還元井より地下に戻している. 本研究では, 地熱発電所の排ガス中に含まれるH2Sガスを用いて, 地熱発電所で湧出する地熱水からAsを除去する排出物有効利用システムの構築を目指し, 人工的に発生させたH2Sガスを用いた地熱水中のAsの除去に関する基礎的検討を行った. pH 4以下の強酸性にした地熱水中に, H2Sガスを吹き込むことによりS2-を供給し, As濃度を排水基準の0.1mg/l以下にすることができた. また, H2SガスによるAs除去法は, Al塩添加により地熱水中の過飽和シリカを除去した処理水に対しても, 地熱水と同等の効果を示し, 過飽和シリカ除去法との組み合わせが可能であることがわかった.