抄録
マウスのリンパ浮腫出現を目的に, リンパ節とリンパ節に輸出・輸入する集合リンパ管を切除すると, その末梢で一時的にリンパ浮腫は発生するが, それは継続されない.その理由として, リンパ管迂回路の形成による可能性をわれわれは指摘した. その形成されるリンパ管迂回路は切断された集合リンパ管なのか, それとも集合リンパ管と毛細リンパ管をつなぐ前集合リンパ管が関与しているかは不明であった.われわれは,皮筋より深部の集合リンパ管を頭尾の2カ所で結紮し, 集合リンパ管のリンパ流を遮断した. その結果, 結紮した部位より頭側と尾側の部位に橋状に結ぶ交通路(迂回路)が出現することが判明した.その迂回路のリンパ管内皮細胞には細胞分裂像が観察されないことや,結紮した集合リンパ管よりも浅層である皮筋よりも浅い部位に存在することから, このリンパ管迂回路が前集合リンパ管であることが判明した. 末梢からのリンパが集合リンパ管を流れ, 迂回路を通り, 頭側の集合リンパ管へ流れて, 静脈へと戻ることから, 末梢で形成されるリンパ浮腫が軽減または消失すると考える. 人でもこのような迂回路の形成がされるようであれば, リンパ浮腫が軽減される可能性がある.