日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
原著
在宅医療での静脈うっ滞性潰瘍に対する圧迫療法の臨床成績
江田 茜宇都宮  誠石井 美穂村上 恵美沼田 貴美子高木 遥子登坂 淳坂元  博木下 幹雄
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2024 年 5 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

 静脈うっ滞性潰瘍に対する治療において圧迫療法は最も重要な治療である. 適切な圧での圧迫を行うことだけではなく, 患者のアドヒアランスも考慮する必要性がある.
 当院では潰瘍がある場合は弾性包帯による圧迫療法および軟膏処置やデブリードマンを行っている. 圧迫療法に対するアドヒアランスを考慮すると在宅医療での治療はメリットが大きいと考えられるが, 現時点で在宅診療においての圧迫療法の臨床成績や安全性は明らかではない. そこで今回, 当院での静脈うっ滞性潰瘍に対する治療成績について検討した. 対象は2019年5月から2021年12月までの間にTOWN訪問診療所4院で治療した51症例64肢で,患者の背景や病態・治療などのデータ解析を行った. 在宅における圧迫療法では96.1%のアドヒアランスと70.6 %の潰瘍治癒率を示した. 在宅医療における静脈うっ滞性潰瘍に対する圧迫療法は有用であったが, 合併症の出現には注意を要する. 患者教育や生活スタイルに合わせた治療を家族や関係する医療従事者と連携して行うことで高いアドヒアランスを実現することが可能となる.

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© 2024 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
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