日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
症例報告
糖尿病性シャルコー足に対し, リング型創外固定器を併用した足関節固定術を施行し歩行を獲得できた1例
青野 達野田 彰溝口 雅之荒武 佑至權藤 理絵水内 秀城松垣 亨
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2025 年 6 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

 症例, 51歳男性. 10日前より特に誘因なく左下腿の腫脹と熱感, 左足部の変形が出現し入院となった. 画像所見では左足関節の骨破壊と30°の外反変形を認め, 糖尿病性シャルコー足および蜂窩織炎の診断となった. 1ヵ月間抗生剤の点滴を行った後, リング型創外固定器 (Taylor Spatial Frame® : Smith & Nephew) を装着して左足関節の牽引を行った. 術後12日目より創外固定器のストラット長を緩徐に変化させ, 4週間かけて外反変形の矯正を行った. 創外固定器装着中は足趾の拘縮予防として, 早期より足趾の関節可動域運動と筋収縮運動を積極的に実施した. 創外固定術後11週,同側腓骨を移植骨として足関節固定術を施行し, 足関節固定術後12週にリング型創外固定器を抜去した. 術後3年6ヵ月の現在, 足関節の変形や腿痛はなく, 荷重歩行を継続できている. 感染の危険性と拘縮がある糖尿病性シャルコー足に対して, リング型創外固定器を用いた変形矯正は有効な治療手段であり, また創外固定中は足趾の拘縮予防を, 創外固定器抜去後は足部と歩行に応じたフットウェアを選択し, 歩行練習を中心としたリハビリテーションが重要であると考えられた.

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© 2025 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
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