2025 年 6 巻 3 号 p. 150-157
目的: 血行再建術前のchronic limb-threatening ischemia (CLTI) 患者における術前の身体機能と生命予後との関連性について検討した.
方法: 2017年から2023年にCLTIチームによる術前評価および血行再建術を施行したCLTI患者95例 (95肢) を対象とした. 患者背景, 歩行可否, 握力, mini mental state examination (MMSE) を説明変数とした多変量解析を行い, 治療後における死亡の危険因子について検討した.
結果: 65例 (68%) が握力低下 (男性<28kg, 女性<18kg) を示した. 遠隔フォロー期間は19ヵ月で, 全体での死亡数は35例, 2年生存率は67.3%であった. 死亡の危険因子として握力低下[HR 10.13 (95%信頼区間: 95%CI) 1.37-75.19) , p=0.024], 高血圧症[HR 3.26 (95%CI 1.11- 9.59) , p=0.031], 対側下肢のCLTI[HR 2.22 (95%CI 1.11-4.42) , p=0.023]が抽出された.
結論: 術前に握力低下 (男性<28kg, 女性<18kg) を示すCLTI患者の生命予後は不良である.