2026 年 7 巻 3 号 p. 227-233
静脈性下腿潰瘍 (venous leg ulcer : VLU) の圧迫療法継続には, 患者の生活や価値観を踏まえた支援が求められる. 今回, 約10年間VLUが治癒せず, 圧迫療法を拒否していた80歳台女性に対し, 価値観と自己決定を尊重した支援を行った. 「入院を回避し, 最期まで自宅で過ごすこと」を長期目標として共有し, 苦痛時には自ら外すことのできる弾性包帯から圧迫療法を開始した. 弾性包帯を緩めても否定せず, 継続できていることを評価した. 創の縮小を実感した患者は「創を治したい」と希望し, 治療方法を自ら尋ねるようになり, 適切な巻き方の指導後は弾性包帯を緩めず自ら実施できるようになった. 介入4ヵ月後には右下腿後面6ヵ所の潰瘍が閉鎖し, 1年後には全潰瘍が閉鎖した. 本症例への介入はARCSモデルに基づいて計画したものではないが, 患者支援過程を後方視的に再考すると, 患者が生活目標と治療との関連から必要性を見いだし, 自己決定し, 成果を実感しながら治療に主体的に参画していく過程として整理できた.