2021 年 4 巻 1 号 p. 1-17
吃音のある成人では,発話運動制御に過度に注意が向くことが不適切な対処行動を引き起こし,臨床的な困難につながるという仮説があり,認知行動療法などの心理・行動面での支援が効果的であると考えられる。本研究は,発話運動制御に対する過度な注意を弱める認知行動療法が,吃音中核症状頻度,心理・行動面での困難の緩和につながるかを調べることを目的とした。吃音のある成人48名が参加し,介入前・後での吃音頻度(吃音検査法・フリースピーチ;主要アウトカム)・質問紙得点(副次アウトカム)の変化と,介入6ヶ月後での質問紙得点の変化を調べた。その結果,吃音頻度は,吃音検査法とフリースピーチ共に有意に減少し,一部の質問紙得点は,介入前に比べて介入6ヶ月後でも有意な改善を示していた。発話運動制御に対する過度な注意を弱める認知行動療法は,吃音頻度の減少に加え,長期的な心理・行動面の困難の緩和にもつながり得ると考えられた。