抄録
喉頭や気管の内腔に浸潤した甲状腺癌は,喉頭や気管の合併切除を行う事で切除可能であるが,喉頭や気管の一部を失い,皮膚瘻の閉鎖には再建を要する。一期的もしくは二期的な再建手術がなされるが,当センターでは可能な限り一期的な再建を施行している。平成23年4月から平成25年3月に気管もしくは喉頭内腔へ浸潤した甲状腺癌5例の一期的切除再建を施行した。4例で一期的な切除再建を行い,1例は両側反回神経麻痺のために気管皮膚瘻とした。2例にて術後嚥下障害で長期入院と嚥下リハビリを要した。吻合不全などの致命的な合併症は経験しなかった。喉頭や気管内腔浸潤した局所進行甲状腺癌に対し,一期的切除再建法は有用な治療法である。