抄録
当科で1996年1月から2009年12月までに一次治療を行った頭頸部腺様囊胞癌30症例(男性17例,女性13例)について検討した。初診時の年齢は24歳から78歳で平均52歳,中央値53歳であった。原発巣は唾液腺12例,鼻副鼻腔9例,中咽頭3例,外耳道2例,上咽頭1例,口腔1例,眼窩1例,気管1例であった。死因特異的累積5年生存率は74%であったが10年生存率は38%であり,長期間にわたり徐々に生存率の低下を認めた。30症例中25症例で根治的な治療を行う事が出来たが,25症例中16例に再発を認めた。16例の再発症例のうち9例を救済する事が出来た。再発時に救済できた症例(救済例)とできなかった症例(非救済例)を比較すると5年生存率が54%と21%であり有意な差を認めた。腺様囊胞癌の経過観察中に再発を認めた場合,積極的な治療を行う事により長期予後が改善する可能性が考えられた。