抄録
当科では進行頭頸部扁平上皮癌(以下,進行頭頸部癌)に対し集学的治療を行っており,2006年1月より評価可能病変が消失した一次治療症例にS-1内服による維持化学療法を勧めてきた。今回このS-1内服による維持化学療法の有効性を検証するために2006年1月から2009年12月まで一次治療で根治を得られた進行頭頸部癌91例につき,生存率および再発率を検討した。全91例の粗および死因特異的生存率は3年で62%,68%,5年で52%,58%であった。維持化学療法の内服の有無別の粗および死因特異的生存率は,内服群は3年で73%,79%,5年で62%,67%であり,非内服群ではそれぞれ3年で57%,63%,5年で49%,57%であった(p=0.06,p=0.07)。内服の有無による生存率に有意差は認めないものの,内服群の方が,非内服群に比べ,生存率は良い傾向が認められた。