頭頸部外科
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症例
外科的治療で改善を得た,巨大甲状腺腫を伴う破壊性甲状腺炎の1例
松本 尚之中屋 宗雄野内 舞木田 渉稲吉 康比呂
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2021 年 31 巻 3 号 p. 279-286

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抄録
今回,保存的治療に抵抗性の,巨大甲状腺腫を伴う破壊性甲状腺炎に対し,外科的治療で改善を得たので報告する。症例は56歳男性,急性心不全の診断で前医に入院した。心不全の原因精査で甲状腺中毒症の関与が疑われ,精査目的で当院内分泌内科を受診した。精査の結果,巨大甲状腺腫を伴った破壊性甲状腺炎が疑われた。症状が出現してから3か月以上経過するも甲状腺中毒症は改善せず手術目的で当科紹介受診し,甲状腺全摘術を施行した。術後,甲状腺ホルモン値は安定し,甲状腺中毒症の症状も消失した。破壊性甲状腺炎は通常3か月以内に自然軽快するが,保存的治療に抵抗性の甲状腺中毒症に対しては外科的治療も考慮すべきと考えられた。
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