Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
ウンシュウミカン多胚性遺伝子座近傍領域のマッピングとハプロタイプ構造
中野 道治清水 徳朗國賀 武根角 博久大村 三男
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 77 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

多胚性は,カンキツ属において広範に分布するアポミクシス現象であり,カンキツの繁殖において重要な役割を果たす.本研究では,多胚性遺伝子座の正確なマッピングを行うために,‘清見’ב宮川早生’由来 F1 集団を用いて RAPD 法によるバルク化選抜を行った.1681 種類の EST 配列由来プライマーおよび 12 mer ランダムプライマーを用いて単胚性・多胚性バルク間でスクリーニングを行った結果,多胚性遺伝子座に連鎖する 5 個の RAPD マーカーを獲得し,その内 2 マーカーについては SCAR 化を行った.これらのマーカーは‘清見’ב宮川早生’連鎖地図において,多胚性遺伝子座との連鎖が示されている第 9 連鎖群上のマーカーと共に全長 47 cM からなる連鎖群を構成した.マーカー情報,系譜情報を基に多胚性遺伝子座近傍領域のハプロタイプ構造を推測したところ,‘宮川早生’から‘清見’に伝達された単胚性ハプロタイプは,多胚性遺伝子座近傍領域で組換えを起こしていると考えられた.本報告で明らかにされたマーカー情報およびハプロタイプ構造は,多胚性のマーカー選抜,ゲノム解析を行うための有用な知見となる.

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© 2008 園芸学会
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