Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
Online ISSN : 1882-336X
Print ISSN : 1882-3351
ISSN-L : 1882-3351
原著論文
コルヒチン処理によって得られたサルビア倍数体の形態的特長とその遺伝性
小林 伸雄山下 幸穂太田 勝巳細木 高志
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2008 年 77 巻 2 号 p. 186-191

詳細
抄録

サルビアの倍数体の作出ならびに形態的変異とその遺伝性の調査を行った.サルビア種子へのコルヒチン処理は,発芽率に対して強い影響を及ぼさなかったが,子葉展開前後に生育停止し枯死する実生が多くみられ,本葉展開に至る実生は処理濃度が濃くなるほど少なくなった.本葉展開率が 0 ppm に対して半減するコルヒチン処理濃度は,Salvia coccinea ‘コーラルニンフ’では 500 ppm,‘レディインレッド’では 250 ppm,S. patens ‘ブルーエンジェル’では 750 ppm で種や品種による違いがみられた.S. coccinea ‘コーラルニンフ’ではコルヒチン 500 ppm を最適処理濃度として,種子 50 粒に処理し播種・育成したところ,発芽後,順調に生育した実生は 12 個体で,このうち 7 個体で 4 倍性が確認されたほか,2~4 倍性および 4~8 倍性のキメラ個体がそれぞれ 1 個体ずつ得られた.4 倍性個体では葉が大きく厚くなったほか,花器および花序全体が大型化し,観賞価値が高まった.大半の 4 倍性個体は染色可能な花粉を有し,4 個体からは自殖種子が採種可能であった.この種子から得られた 2 代目実生 18 個体はすべて 4 倍性に安定し,花および葉の形態も親同様に大型化していることがわかった.

著者関連情報
© 2008 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top