抄録
これまでに,発達,生理機構,遺伝様式など様々な視点から,ナス科モデル植物であるトマト(Solanum lycopersicum)を用いた研究が数多く進められている.近年では,分子生物学分野における実験手法の発達にともない,トマトのゲノム解読プロジェクトや cDNA プロジェクトが進行している.この背景から,国際塩基配列データベースにおけるトマトのゲノム配列や EST 配列の登録件数は,現在,急速に増加しており,ゲノム,トランスクリプトーム,メタボロームといった様々なオミックス情報が Web データベースから提供されている.今後,これらの膨大な情報や Web ツールを積極的に活用することで,新たな生物学的な知見を引き出し得ると期待される.ここで,大規模情報を利用する研究を促進するためには,バイオインフォマティクスによるアプローチが欠かせない.そこで,本レビューでは,トマトの主要なオミックス・データベースの現状やバイオインフォマティクス手法について言及するとともに,その展望について述べる.