Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
種間交雑ブドウ‘香大農 R-1’(Vitis ficifolia var. ganebu × V. vinifera‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’)の果粒成分に及ぼす温度の影響
Poudel Puspa Raj望岡 亮介別府 賢治片岡 郁雄
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2009 年 78 巻 2 号 p. 169-174

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抄録

高温はブドウの果粒内成分,特に可溶性固形物含量,酸含量,アントシアニン含量に影響を及ぼすため,高温条件下でも品質の優れる新品種育成を目的として,沖縄地方自生の野生種リュウキュウガネブ(Vitis ficifolia var. ganebu)と栽培品種‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’(V. vinifera)を交雑し,新品種‘香大農 R-1’を得た.‘香大農 R-1’の果実品質に対する温度の影響を調査するため,挿し木苗を 10 L ポットに植え,硬核期以降,昼夜連続 20,25,30℃のファイトトロンに搬入し栽培した.搬入 15,30,37 日後に各処理区から果粒を採取し,果粒内成分を測定したところ,酸含量は処理温度が高くなるほど減少したが,可溶性固形物含量は 25℃区が最も多かった.ブドウ糖と果糖は低温ほど多く蓄積された.各フェノール物質の含量は 25℃区で最も多くなったが,30℃区ではアントシアニン含量とフェノール含量が次に高い値となり,プロシアニジン含量,フラボノール含量,フラボノイド含量よりも高温の影響を受けにくかった.以上のことから,‘香大農 R-1’は夜温が 25℃を超えるような地域でも果実品質が低下しにくい品種であることが確認された.

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© 2009 園芸学会
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