Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
ハゼノキ(Rhus succedanea L.)のマイクロサテライトマーカーの開発とその特性およびクローン識別と遺伝的関係の推定
平岡 裕一郎渡邉 敦史
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 79 巻 2 号 p. 141-149

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抄録

ハゼノキ(Rhus succedanea L.)は中果皮から木蝋を採取するため,日本で栽培されている樹種である.本種の育種への利用を目的として,在来品種‘伊吉’をライブラリーの作成に用い,96 のポジティブクローンから 12 のマイクロサテライトマーカーを開発した.育種計画のため西日本各地から選抜・保存した 82 個体は 50 の遺伝子型に分類され,その中には 3 の在来品種がそれぞれ複数個体含まれた.西日本および千葉と沖縄の集団からの 88 遺伝子型において,各マーカーで 3~19 対立遺伝子が得られ,ヘテロ接合度の期待値は 0.22~0.85 であった.西日本の個体には,在来品種や高樹齢と考えられる個体と遺伝的に関係のあると考えられるものがいくつかみられた.Dice の類似係数を基にした主座標分析や集団間の FST の値から,沖縄集団が西日本および千葉集団から遺伝的に離れていると考えられた.これらの結果を基に,今後のハゼノキの育種について考察した.

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© 2010 園芸学会
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