Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
キャベツセル成型苗胚軸の形状および力学パラメータの経時変化
福島 崇志佐藤 邦夫斉藤 裕樹中村 翔一
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 79 巻 2 号 p. 156-160

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抄録

キャベツは,生育過程において発生する苗の倒伏により,機械移植・機械収穫に不向きな形態を形成し,それらが移植・収穫ロスや作業効率の低下を招くことがある.これらの原因は未解明であるが,自重による倒伏や定植後の生育環境,移植機の精度や植え付け深度に起因するものと考えられる.そこで,キャベツセル成型苗の硬さや負荷への強度を検討するため胚軸部を対象に,硬さに関する力学的特性である曲げ剛性の測定と同時に,胚軸の長さや径および地上部生体重との関係について考察した.測定では,胚軸部は比較的柔らかく大たわみ変形を起こすので,大たわみ式を導入した曲げ剛性算出方法を用いた.測定結果より,育苗後期では,胚軸径および生体重で生長の鈍化が確認された.曲げ剛性に関しては指数関数的に増加する傾向が確認された.また,曲げ剛性が,理論上相関が高い胚軸径に比べ大きく増加したことから,材料固有のヤング率が苗の生長に伴い増加することが示唆された.さらに,キャベツセル成型苗では育苗が進むにつれ自重による苗の倒伏が発生しにくいと考えられた.

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© 2010 園芸学会
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