2010 年 79 巻 2 号 p. 200-206
韓国ソウル市において,新築家屋住民の精神的身体的健康状態を室内鑑賞植物を考慮して二期間にわたって評価した.住民は少なくとも二年間にわたって深刻なシックハウス症状(SBS)を示した.室内植物を設置し換気するとシックハウス症状は緩和された.住民の精神的健康は換気中には向上し,室内植物を置くとさらに改善された.室内植物を置いても住民の肺活量や血液指標に有意な違いは認められなかったが,強制肺活量や免疫グロブリン E レベルなどがやや改善した.以上の結果から,室内植物の設置は単独では室内の毒性物質レベルを低下させるには十分ではないが,換気と併用することで環境に優しい毒性物質レベル低減法になりうると考えられる.