Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
Online ISSN : 1882-336X
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原著論文
過剰フロログルシノール存在下での酸触媒作用を用いたカキ果実における縮合型タンニン組成の解析
赤木 剛士鈴木 靖彦池上 礼子上高原 浩高野 俊幸中坪 文明米森 敬三
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2010 年 79 巻 3 号 p. 275-281

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抄録
カキ(Diospyros kaki Thunb.)は果実に渋味成分である縮合型タンニン(Condensed tannin; CT)を大量に蓄積する.本研究では,フロログルシノールを用いてカキ果実の CT 構成成分を解析し,主なフロログルシノール分解生成物の一つとして新たにエピガロカテキンガレート-フロログルシノール付加体(EGCG-P)を同定,定性した.カキ品種におけるフロログルシノールを用いた解析により,果実の脱渋性によって分類した 4 つの品種群(PCNA, PVNA, PVA, PCA)において CT 構成成分および成分比が異なっていることが示され,特に主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCG)の割合に品種群間で大きな差異が見られた.果実成熟の様々な段階においてフロログルシノール法を用いた解析を行うことで,この品種群間での CT 蓄積機構の差異を明らかにできる可能性が考えられた.また,本研究の結果よりフロログルシノールを用いた解析法はカキ果実における CT 構成成分の調査に有効であり,カキ果実における渋味形質の研究に大きく寄与するものであることが示された.
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© 2010 園芸学会
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