抄録
中国新疆ウィグル自治区のハミウリは cassaba, chandalak, ameri および zard の 4 変種に分類されているが,その遺伝的多様性についてはほとんど研究されていない.そこで,ハミウリおよび近隣地域の在来品種を含むメロン 120 系統を供試して,遺伝的多様性ならびに類縁関係を解析した.ハミウリ 24 品種の種子長はいずれも 9 mm 以上であり,欧米のフユメロン変種と同じく大粒系に分類され,中国東部のマクワ・シロウリ(小粒系)とは明瞭に異なった.一方,イラン,アフガニスタン,パキスタンおよび中央アジア諸国では,大粒系および小粒系の両者が混在していた.PS-ID 領域(Rpl16-Rpl14)の SNP(一塩基多型)および ccSSR7 マーカーにより葉緑体ゲノムの塩基配列多型を解析した結果,供試したメロン品種が 3 種類の細胞質型(母系)に分けられること,そしてハミウリの細胞質型(T/338bp 型)が欧米のフユメロン品種(T/333bp 型)と異なることが明らかになった.一方,RAPD および SSR マーカーを用いた核ゲノムの多様性解析では,ハミウリの多様性指数(D = 0.243)が他地域の在来メロンより低いことが判明した.系統間での遺伝的距離に基づくクラスター分析の結果,ハミウリのうち果実の貯蔵性に優れる ameri 変種および zard 変種のほとんどが第 2 クラスターに分類されたことから,両変種は遺伝的に分化していないと考えられた.一方,早熟で果実の貯蔵性が悪い chandalak 変種は第 4,第 6 クラスターに分類され,上記 2 変種とは遺伝的に分化していることが判明した.第 2 クラスターには他地域のメロン 12 系統も含まれたが,このうちトルクメニスタンおよびアフガニスタンのメロン 3 系統がハミウリと同じく大粒系(種子)で T/338bp 型(細胞質)であったことから,ハミウリが西方から導入されたと考えられた.これに対して,中国東部のマクワ・シロウリは小粒系,A/338bp 型であり,また核ゲノムの解析でも第 1~第 9 クラスターから遠く離れた第 10 クラスターに分類されたことから,ハミウリとは別起源であることが示された.