2011 年 80 巻 2 号 p. 200-205
本研究では,フーリエ変換を用いてトルコギキョウの花弁湾曲や二次元形状を定量的に評価した.花弁の湾曲は,花弁を側面から見た花弁中央脈の背軸面に沿った曲線をトレースし,得られたカーブの輪郭をフーリエ係数に変換して,これらを主成分分析にかけた.花弁湾曲は,第 1 から第 3 主成分までで,全変動の 95%以上が説明された.第 1,2 主成分は,それぞれ花の開き,花弁中間部の内側へのカーブを評価していた.花弁形状は,第 1,2 主成分で表され,それぞれ,花弁の横幅,花弁の重心を評価していた.さらに,品種と育種系統を合わせた全 122 品種について,花弁湾曲と花弁形状を表すフーリエ係数を用いて,自己解析マップによるクラスタリングを行った.その結果,4 つの典型的なグループ,ボウル型,トールカップ型,トランペット型,ロート型が見出された.花弁湾曲の第 2 主成分は,花弁形状の第 1 主成分と高い相関があり,ボウル型とトールカップ型の花冠の花弁湾曲形成は,横幅の広い花弁と関連があることが示された.