Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
遠赤色光に弱い赤色光を補うことによってシュッコンカスミソウの花成は促進される
西舘 孝治金山 喜則西山 学山本 健志濱口 友希金浜 耕基
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 81 巻 2 号 p. 198-203

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抄録

低赤色光/遠赤色光比がシロイヌナズナや数種の長日性切り花類の花成を促進することが知られているが,単色光や単色光の組み合わせの花成への影響に関する知見は乏しい.そこで,シュッコンカスミソウの花成に及ぼす光質の影響を遠赤色,赤色,青色発光ダイオードを用いて調べた.開花や発蕾は遠赤色光による長日処理においてみられたが,短日条件下ではみられなかった.また,開花や発蕾は遠赤色光のみよりも遠赤色光に赤色光を補足した条件下でより促進された.赤色光は長日植物においては花成を阻害するとされているが,例えば赤色光/遠赤色光比が 0.23 から 0.71 程度の一定レベルの赤色光は効果的な花成促進に必要であると考えられた.一方遠赤色光への青色光の補足については,本研究での混合比においては開花や発蕾に対する促進効果はみられなかった.花成を促進する発光ダイオードによる長日条件下で生産された切り花の品質は,白熱電球を用いた場合と比べて低下しなかった.以上の結果は,白熱電球の代替光源としての LED 電球の開発のための基礎的知見を提供すると考えられる.

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© 2012 園芸学会
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