Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
リンゴ小球形潜在ウイルスベクターを用いたアンズ(Prunus armeniaca L.)およびウメ(P. mume Siebold & Zucc.)の遺伝子機能評価系の開発
河井 崇五ノ井 彩子新田 学也海道 正典山岸 紀子吉川 信幸田尾 龍太郎
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2014 年 83 巻 1 号 p. 23-31

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抄録
リンゴ小球形潜在ウイルス(apple latent spherical virus; ALSV)ベクターは,リンゴ(Malus × domestica Bork.),セイヨウナシ(Pyrus communis L.)およびニホンナシ(P. pyrifolia Nakai)などのバラ科果樹を含む幅広い植物種に無病徴で感染し,安定してウイルス誘導性ジーンサイレンシング(virus-induced gene silencing; VIGS)を誘導できることが報告されている.本研究では,ALSV ベクターを用いた VIGS 法により,アンズおよびウメの 2 種のサクラ属果樹の遺伝子機能評価系の開発を試みた.アンズのフィトエン不飽和化酵素(PHYTOENE DESATURASE; PDS)遺伝子の部分配列をクローニングし,ALSV RNA2 をコードするバイナリーベクター pBICAL2 の T-DNA 領域に組み込んだ.このコンストラクトおよび ALSV RNA1 をコードするバイナリーベクター pBICAL1 をそれぞれアグロバクテリウムに導入した.これらのアグロバクテリウム系統を同時に Nicotiana benthamiana の葉に接種し,組み換え ALSV を増幅した.増幅した組み換え ALSV を抽出し,遺伝子銃を用いてアンズおよびウメの子葉に接種した.数週間後,アンズの上位葉では PDS のノックダウンによる白化が観察されたが,ウメでは ALSV ベクターの感染が確認できなかった.サクラ属果樹における VIGS を利用した遺伝子機能評価の有効性について議論した.
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© 2014 by Japanese Society for Horticultural Science
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