Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
暗条件下での暗所形態形成により誘導された伸長型 PLB(ePLB)を用いたコチョウランの簡便で高効率な微細繁殖系の開発
榎 真一高原 美規
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2014 年 83 巻 2 号 p. 149-155

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抄録

暗所形態形成により得られた伸長型 PLB(ePLB)を用いたコチョウランの簡便で高効率な微細繁殖系を開発した.成長点切除なしの通常の PLB(nPLB)を各光条件(光合成有効光量子束密度)で明:80,薄明:2,暗:0,単位は μmol·m−2·s−1)で培養した場合,その増殖効率は明,薄明条件と比較して暗条件で高かった.また,暗条件で得られた 2 次 PLB(ePLB)は暗所形態形成を示し,得られた ePLB は nPLB の約 2 倍の長さに伸長していた.また暗条件でのシュート形成率は,成長点切除なしで 8%,成長点切除ありでは 1%と他の 2 条件と比べ非常に低く抑えられた.この ePLB に薄明条件で 2 週間光順化処理を行った.その後 ePLB の頂部に部分切開法を適用し,明条件で培養した場合,同様に部分切開を行った nPLB と増殖率で比較して約 6 倍となる,大量の PLB が得られた.以上の結果より,PLB を暗所で培養することにより,PLB 増殖の妨げとなるシュート形成を低労力で抑制しつつ,ePLB を誘導し増殖することができ,またこの ePLB を明条件へ移すことで,nPLB と比べて非常に大量の 2 次 PLB が得られることが明らかとなった.

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