Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
トマト一段密植栽培における緩やかな塩ストレスが果実糖度と収量に及ぼす影響
淨閑 正史長塚 麻南吉冨 彩子中川 卓也丸尾 達塚越 覚北条 雅章瑠 娜中南 暁生土屋 和篠原 温
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2014 年 83 巻 3 号 p. 229-234

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抄録
トマト一段密植栽培において,平均糖度 6 以上の果実生産を目標として,培養液濃度の上昇開始時期の違いが収量および糖度に及ぼす影響を調査した.また,積算温度を指標とした培養液濃度の上昇開始時期についても検討した.第一果房の第一果が直径 4 cm 時に EC を 1.8 dS·m-1 から 6.0 dS·m-1 まで緩やかに上昇させる early,および開花 3 週後から培養液 EC を上昇させる late を設けた.その結果,late では可販果収量が低下せずに Brix 5.9%の果実を得られた.次に,積算温度を基に培養液 EC を上昇させたところ,EC の上昇開始時期は early が良く,可販果収量が低下せずに Brix 6.4%の果実を得られた.以上の結果より,積算温度を基準とした緩やかな塩ストレスにより,収量を低下させず,糖度 6 程度の果実生産を行える可能性が示され,その時の培養液 EC 上昇速度は 0.1 dS·m-1·day-1 が適当と考えられた.一方,積算温度による培養液濃度の上昇開始時期については季節間差が大きく,さらなる検討が必要であった.
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© 2014 by Japanese Society for Horticultural Science
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