抄録
(1) 昭和25~27年の3ヵ年間青森県下の優良園の葉分析調査を行つた結果を取纒めたものである。
(2) 国光と紅玉の葉成分を比較すると, N, Kは明らかに国光が多いが, Pについては明らかでない。其他の品種間の差異については明らかでない。
(3) 収量の多い園の葉程N含量が高い傾向にあるがP, Kの関係は明らかでない。
(4) 着色の良好なもの程N含量が低い傾向があり, Nの場合程明らかでないがKがやや高い傾向が見られる。したがつてN/Kの値をとつて見ると, これと着色との関係はNの値単独の場合より明らかなように見えるが, この事は更に検討を要する。
(5) 河岸地帯は火山灰地帯に比べてNが高く, Kの低い傾向がある。
(6) 草生園は清耕園に比べて明らかにN含量が低い
(7) 昭和25年 (豊作年) は昭和26年 (不作年) に比べて葉成分が低かつたが, その翌27年 (豊作年) には更に前年より高くなつていて, 不作の前年の豊作年は葉成分低く, 不作に続く豊作年には葉成分の高い事が伺われた。
(8) 樹齢の進むにしたがつてN含量は僅かに減少する傾向がみとめられるが, P, Kは明らかでない。
(9) 採葉時期の遅れるにしたがつて, 一般に葉成分は減少する傾向が見られるが, Nは最も朗らかで, Kは明確欠く。種々の点より考えて, 葉分析を行う適期は枝の伸長の止つた頃がよく, その時期は青森県では7月上, 中旬である。
(10) その年の施肥量と葉成分の間には, このように條件を異にする園についての調査では相関が認められない。
(11) 7月上中旬の採葉で, 国光N3.98~2.49%, 平均3.25%, 紅玉3.84~2.30%, 平均3.00%であつたが反当200箱の収量を上げるためには最低国光2.8%, 紅玉2.6%以上は必要と考えられた。一般にN含量の高い点は, 品質に対して不利な條件となるので, 検討を要する問題と考えられた。
K含量は国光2.18~0.75%, 平均1.53%, 紅玉1.85~0.7%, 平均1.34%で, 1%内外の含量でも最高収量を上げたものもあつたが, この含量の低い点はNの場合と同様に検討を要するものと思われた。
P含量は国光0.247~0.115% (平均0.170%), 紅玉0.244~0.096% (平均0.167%) であり, その必要含量は不明であつたが, 最低含量の場合も特に障害はみとめられなかつた。