園芸学会雑誌
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燐酸および加里の施用の時期と濃度がブドウ果実の収量・品質に及ぼす影響
小林 章細井 寅三尹 宇英水谷 慎作
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1960 年 29 巻 2 号 p. 85-95

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抄録
1. 3年生のブドウ樹(品種デラウエヤ)を砂耕し,その新梢伸長期(4月上旬-6月下旬)と果重増大期(7月上旬-8月中下旬)において,砂耕液中の窒素濃度が適当(80ppm)な場合の加里(160, 80, 40, 0ppm)および燐酸(80, 40, 20, 0ppm)の施用濃度の相違が果実の収量・品質(着色,糖度,酸度)に及ぼす影響を,それぞれ比較観察した。
2. その結果,燐酸の新梢伸長期における高濃度(80ppm,窒素濃度と等量)の施用は,果実の収量を相当に増すとともに,着色を促がし,糖度を高め,酸度を下げた。しかし,果重増大期にはその半分位の濃度(40ppm,窒素濃度の1/2)で良く,高濃度にすると果実の収量を増すが,着色を抑え,糖度を下げ,かつ酸度を余り変えなかつた。
3. これに反し,加里の新梢伸長期における高濃度(80ppm以上,窒素と等量以上)の施用は,果実の収量および着色,糖度に目立つた効果を与えず,かえつて酸度をはなはだしく高めた。しかし,果重増大期の高濃度(80ppm以上,窒素と等量以上)の施用は,収量を著しく増すとともに酸度を余り高めずに,果実の着色を促がした。なお,糖度には殆んど変化を与えなかつたが,この場合,各区の1樹当りの果粒数を人為的に一定に制限すると,加里の高濃度(160, 80ppm)の施用は低濃度(40, 0ppm)の施用にご比し明らかに着色を良くし,糖度および酸度を高めた。
4. ちなみに,燐酸の新梢伸長期の高濃度施用は,1樹当りの総花(果粒)数を増すとともに,実止まつた果粒中の種子数を多くした。また,加里の新梢伸長期における高濃度施用に伴なつて,加里の葉内含量は増したが,逆に窒素と燐酸の葉内含量は減り,新梢の伸長作用は抑えられた。更に,果実の収穫時の葉分析の結果では,燐酸や加里の濃度を高くすると,その施用期が新梢伸長期と果重増大期のいずれであつても,それらの要素の葉内含量は多くなつた。しかしこの場合には,果実収量が各区の間で相当に異なるためにか他要素との間の拮抗作用を明らかに認めることはできなかつた。
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