抄録
1. 兵庫県多紀郡における3つのクリ園の傾斜地の上下からきゆう果および葉を採取して分析し, 果実の大きさとの関係を明らかにした。
2. 傾斜地の下部は上部に比してきゆう果の発育は良好で, 果実および葉内N含量に関係しているように思われた。
3. 1果重ときゆう果および葉内N含量, およびK/N比との間には高い正および負の相関がみられたが, きゆう重と成分間には低い相関しか認められなかつた。
4. 20~25gの大きさの果実に対応する果実および葉内N含量は, それぞれ1.14~1.33%および1.98~2.33%であり, 果実内K/Nの比は0.97~0.68であつた。
5. 1果重と果皮率との間には負の相関があつた。1果重と糖含量, 糖含量とN含量との間には有意な相関が認められなかつた。
6. 果実およびきゆう重と成分間の相関関係を解析することによつて, きゆう果の発育はきゆうおよび果実の相反するK/N要求度にもかかわらず, 果実がきゆうの生長を促進することによつて統一されている面を明らかにした。
7. きゆう果の発育様式に従って, 20~25gの果実100kgの生産に必要なぎゆう果内NおよびK量を推定した。果実の大きさに従つてN0.64~0.81kgおよびK0.81~0.70kgである。