園芸学会雑誌
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ソラマメの開花結実について
井上 頼数渋谷 正夫鈴木 芳夫
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1963 年 32 巻 1 号 p. 42-48

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抄録
ソラマメの開花結実に関し6品種を使つて調査した結果, 次のような成績を得た。
1. 開花数と結莢数との消長は大体同様の傾向をたどるが, 結莢率からみると初期に高い傾向がある。
2. 1個体の開花数とその結莢率は品種間に大差がない。結莢率は大体20%前後であるが, 播種期によつても差がある。
3. 一つの枝における開花順序をみるのに, 枝の下の方から上の方へ咲き進んでゆく。
4. 枝別の開花順序をみるのに, 主枝が最も早く, 側枝はその発生の順序に従つて咲いてゆくのが普通であるが, 例外も相当ある。第2次側枝は通常第1次側枝よりも非常におくれて咲く。
5. 1花序内での開花順序は無限的である。
6. 1つの枝についてみるのに, 花数の少ない花房 (2花性花房の場合が多い) が最初に着き, 漸次花数の多い花房が着き, 再び花房の着生花数は少なくなり, 1花性花房で終るのが普通である。すなわち多くの枝は先の方に1花性花房を数節着けている。
7. 1花性花房は止まるものが少ない。枝の先の方すなわち栄養が衰えて来た末期の頃に着生するからであろう。3花性花房や4花性花房の第1花の方が止まる率が大きい。
8. 1花房の内で2花以上止まる場合はそれらが同日に開花した場合が多い。もつとも2花止まることはそう多くなく, 3花止まることは非常に稀である。
9. 1花房の内で結莢する花は大抵第1花だけである。第2花が結莢することは殆んどない。
10. 2花性花房では下の花の咲いた翌日, 上の花の咲く場合が最も多い。両花が同日に咲く場合と, 両花の開花日に2日の差のある場合がそれに次いでいる。3日以上の差のあることは非常に少ない。
1花房に3花以上着くものにおいてもその第1花と第2花との間に限つて開花日の差をみると, 上述した2花性花房の場合と同様な傾向を示している。
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