抄録
ワグナーポットに植えた4年生のデラウエア•ブドウ樹について, 土壌O2濃度の低下が花粉の発芽と果粒の止まり, 生長, 品質に及ぼす影響を, 5大肥料要素の吸収との関係においてみた。
1. 開花前20日(5月1日)から収穫期(8月3日)までの処理においては, 土壌O2濃度の低下とともに, 葉中のN, P, K, CaおよびMgの含量(乾物%)が減少し, 花粉の発芽および結実はいずれもいちじるしく不良となつた。とくに, 土壌O2濃度が5%以下になると,全く実止まらなかつた。その場合に花粉の発芽には, 葉中のPおよびK含量がもつとも密接に関係した。
2. 開花結実後の15日目(6月5日)から収穫期(8月3日) までの処理においては, 土壌O2濃度の低下とともに, 収穫時の葉や果実の中のP, KおよびMgの含量 (乾物%) が減少し, 果実の肥大, 収量ならびに品質ははなはだしく劣つた。
3. O2濃度を種々の程度に調節したワールブルグ検圧計のマノメーター容器中に入れたブドウの実生根は, O2濃度の低下に伴なつて, その呼吸がいちじるしく低下した。とくに, O2濃度が5%以下の場合には, 吸入O2<呼出CO2となつた。