園芸学会雑誌
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ダイコンにおける自家不和合性の生理機構について (第2報)
2, 3薬品処理による自家不和合性の消去
建部 民雄
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1968 年 37 巻 3 号 p. 227-230

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抄録
アブラナ科植物の自家不和合性は, 柱頭乳頭細胞をおおつている, クチンが障壁となつている。これを酵素cutinase で溶かすと, 自家不和合性が消去できたといわれている (LINSKENS, 1961)。
この研究は酵素の代わりに2, 3の薬液で柱頭を処理して, 自家不和合性を消去しようとして実施されたものである。
その結果ダイコンの柱頭はキシロール, または50%クロム酸溶液で処理しても無効であつたが, エーテル, または10%水酸化加里溶液を軽くつけて, しばらくしてから自家授粉すると, ある程度まで自家不和合性を消去できることがわかつた。なおエーテルは水酸化加里液よりも一層取り扱いやすく, 成績もよかつた。
このエーテル処理は柱頭乳頭細胞をおおつているクチンを溶かすことはできないが, それを軟化して花粉の発芽や花粉管の侵入を助けるものと考えられる。
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