抄録
1. 温度が早生温州ミカンの果実の肥大および品質に及ぼす影響を, コイトトロンを用いて, 果実の肥大期と成熟期の処理に分けて調査した。1967年には15°C, 20°C, 25°C, 30°Cの昼夜温を互いに組み合わせた16区とし, 1968年には15°C, 20°C, 25°C, 30°Cの昼夜恒温の4区とした。
2. 果実の肥大期および成熟期の温度処理において横径肥大および重量生長は, 昼夜を問わず, 20~25°Cで著しくすぐれ, 昼夜の気温較差の効果はみられなかつた。ただし, 縦径肥大は高温区ほどすぐれ, 果肉歩合は25°C区で最も高かつた。
3. 果汁中の全糖含量は, 果実の肥大期および成熟期のいずれの処理においても, 20°C前後で著しく多くなつた。ただし, 還元糖含量およびその全糖中での割合は, 高温区ほど多くなつた。
4. 果汁中の酸含量は, 肥大期処理では25°C区で, 成熟期処理では20~25°Cで最も早く減少したが, 30°C区および15°C区では容易に減少しなかつた。
5. 果皮のクロロフィル含量は, 肥大期および成熟期のいずれの処理においても, 低温区ほど早く減少した。とくに, 15°C区, 20°C区での含量は, 25°C区, 30°C区での含量に比べて, 格別に少なかつた。
6. 果皮のカロチノイド含量は果実の熟期の進むにつれて増大したが, その含量は20°C区で最も多かつた。その中のキサントフィル含量はそれと平行的に増加したが, カロチン含量は逆に減少した。果肉のカロチノイド含量はほとんどキサントフィルで占められていた。