抄録
キャベツの結球葉中の糖含量を求め, 食味の内重要な甘味との関係を求めた。
1. 東京市場へ入荷したキヤベツ結球葉中の糖分を分析したところ季節的変動がみられた。すなわち全糖および還元糖の含量は初夏より夏になるにつれ減少し, 秋から冬にかけて増加し, 春になるとまた減少した。ただし例外があり, 冬期に低いものがあつた。非還元糖の含量は夏から秋にかけて低いが, 冬になると増加し, 春になると減少した。還元糖/全糖の比率は, 夏期には0.9以上であるが, 冬には低下し, 0.5内外にまでなり, 春に再び高くなつた。
2. 東京大学農学部ほ場において, 1年間は種期をかえてキャベツを栽培し, 収穫したものについて糖含量を分析した結果は, 上記の実験とほとんど同様の傾向が得られた。
3. 甘さと, 糖含量との相関は大きく, 原則的には糖含量が多ければ甘いが, 例外があり, 糖含量が少なくても甘いものや, 逆に多くても甘くないものがあつた。前者の例には, 冬期寒さに遭遇したと思われるものが, 後者の例には, 葉が硬かつたり, にがみが存在するものなどがあつた。