抄録
20°, 25°および30°Cの各温度を昼温 (8:00~18:00), 夜温 (18:00~8:00) に分けて組合せた条件のもとで, キュウリの初期生育におよぼす培地の砂の粒径組成の影響を調べるとともに, かん水の影響もあわせ調査した.
1. キュウリの地上部乾物重は昼夜恒温条件の場合, 20°Cでは培地間に差はみられなかつたが, 温度が高くなるにつれて培地間の差は大きく, 30°Cでは粗砂大培地(very coarse sand 2~1mm) は細砂培地 (finesand 粒径0.2~0.02mm) の約60%にすぎなかつた. 昼夜変温条件の場合, 昼夜温いずれか一方が20°C条件では, 各昼夜温の組合せとも培地間に差は見られなかつた. これに対して, 昼温30°C条件では夜温が高いほど, 夜温30°C条件では昼温が高いほど, 培地間の乾物重の差は大であつた. 葉の乾物重/葉面積の値は30°C恒温条件下の粗砂大培地のみが2.07mg/cm2でもつとも大きく, 他の温度条件下では全く差がなく, 約1.7mg/cm2であつた.
2. キュウリの地上部乾物重に与えるかん水の影響は, 粗砂大培地の場合, 1日1回のかん水に対して, 1日13回のかん水で1.6倍, 1日49回のかん水で2.4倍に増加した. 一方, 細砂培地の場合, かん水の増加は逆に乾物重の減少をもたらした. 葉の乾物重/葉面積の値は粗砂大培地1日1回のかん水区で2.05mg/cm2を示し, 他の1.5~1.7mg/cm2と比べていちぢるしくその値は大きかつた.