園芸学会雑誌
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トマトにおける果重と種子量の相関について (第2報)
今西 茂樋浦 巌
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1977 年 46 巻 2 号 p. 211-218

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抄録
トマトの果実の肥大に関して種子の果す役割を前報(13)にひきつづいて検討した. 供試品種として清州二号など10品種を用い, 5栽培条件を設定して品種比較試験を行ない, 果重と種子数およびこの2形質に関係する子室数, 一粒種子重など数形質について相互関係を調査した.
遺伝子型相関は果重, 種子数 (種子重) および子室数の間に正の高い相関が認められ, 開花日と果重や種子数(種子重) との間にも正の相関が存在すると推定された.果重を従属変数とし種子数, 子室数, 一粒種子重および開花日を独立変数として重回帰分析を行なった. その結果, 種子数 (種子重) が果重ともっとも密接な遺伝的関係をもち, 子室数が二番目に密接な関係をもっていた.しかし, 子室数が他形質に依存せずに果重と密接な遺伝的関係をもつのに対して, 種子数 (種子重) のそれには種子数が子室数や開花日などの影響を受けて果重に影響する部分と他形質に依存せずに果重に影響する部分のあることが分った.
一粒種子重と発芽率, 種子当り果重と子室数との間にも正の遺伝子型相関が存在すると推定された. 他方, 負の遺伝子型相関が子室数と一粒種子重, 子室数と発芽率との間に認められるようであった.
環境相関は遺伝子型相関よりも小さく, 相関の認められる組合せも少なかった. 果重と種子数 (種子重) の間には正の相関が存在したが, 果重と子室数, 種子数 (種子重) と子室数との間には相関は認められなかった. 種子の充実度が果重におよぼす影響についても考察した.
果重と種子数の品種内環境相関には本研究においても品種間差異が認められた.そして, 複数の環境条件下で比較的安定した相関を示す品種と不安定な相関を示す品種が存在すると推定された.
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