園芸学会雑誌
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れんこんの主茎第1節に形成される葉について
とくにその葉の生育に及ぼす遮光および施肥量の影響
長島 時子
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1977 年 46 巻 2 号 p. 201-210

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抄録
種れんこんから新たに生長した主茎の第1節に形成される葉(第1葉)は, 水面より抽出する"立葉"になるか, あるいは水面に浮ぶ"浮葉"となる. その要因を遮光および施肥条件に着目して研究し, 次のようなことを明らかにした.
1. 種れんこんの大(生体重150~270g)および小(生体重40~100g)のいずれにおいても, 主茎の第1葉は, 対照区および屋根型遮光区の無施肥区, 標準施肥区および倍量施肥区で立葉になった. しかし, 相対湿度の著しく高かったトンネル型遮光区の標準施肥区および倍量施肥区では浮葉であった.
2. 主茎の第1葉の葉柄の下皮組織を構成する細胞壁の肥厚程度は, 浮葉の場合に比して, 立葉の場合が大であった. また, フロログルシン塩酸反応は, 細胞壁の肥厚程度と同様な傾向を示し, 立葉の葉柄のように肥厚の著しい場合にはフロログルシン塩酸反応も著しく, 浮葉の葉柄のように肥厚のわずかな場合には, その反応も著しくなかった.
3. 主茎の第1葉の葉柄の繊維細胞の肥厚程度は, 立葉の場合は, 浮葉の場合に比して大であった. 立葉および浮葉の葉柄の繊維細胞の形態は, いずれにおいてもほとんど同じであった. しかし, 立葉の場合は, 繊維細胞の肥厚が著しく, 浮葉の場合は, ほとんど肥厚がみられなかった. 立葉•浮葉の組織的相違は, 繊維細胞の肥厚程度によることがわかった.
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