抄録
温州ミカン果実に citrate-1.5-14C(0.1μCi, pH3.5) を注入し, 貯蔵90日間の代謝について調べた. 注入した citrate-14Cの代謝速度は非常に速く, 果肉, 果皮でアミノ酸, 糖, たんばく質に変化し, 10日間で約1/2が14CO2として呼出されるのに対し, 果実内に本来含有される citrate (クエン酸) 含量の減少速度は極めておそい. したがって比放射能は注入後10日間で約1/10に低下する. これらのことから, 温州ミカン果実は収穫後貯蔵中もかなり早い turnover で有機酸を生合成しているものと推察した.