抄録
CCC[(2-chloroethyl)trimethylammonium chloride] による巨峰ブドウの新梢 (一番枝) 及び副梢 (二番枝) の形態変化を調べた. CCCは新梢と副梢の伸長生長を抑制した. それは, 前者では細胞分裂と細胞伸長, 後者では主に細胞分裂の抑制に依っていた. CCCの作用性は組織の違いによっても異なった. 髄では細胞の伸長と分裂の両方が抑制されたが, デンプン鞘では細胞分裂の抑制が主であった. 一方, 節間及び節はCCCにより肥大した. 節間の肥大は新梢では木部及び篩部の発達, 特に木部の著しい発達によっていた. 副梢でもほぼ同様の影響が現れたが, 新梢ほど顕著ではなかった. 巻ひげの発達は, CCCにより新梢では抑制されたが, 副梢ではほとんど発達せずCCC処理による差は生じなかった.
